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多重下請け?知っておきたいIT業界の構造

2020年6月4日

多重下請け?知っておきたいIT業界の構造

今回は、IT系の企業に就職または転職を考えている人向けに、IT業界の構造について僕の体験を交えてお話させていただきます。

IT業界への就職や転職を考えているみなさんは、いろいろ調べてすでに知識がある状態だと思いますので、重複しているところは飛ばしてみてください。

IT業界の基本的な構造

IT業界の構造は、基本的に上記のようなピラミッド構造になっています。
発注元企業から、1次請け(プライム)企業が案件を受注し、2次請け以降に仕事の一部を委託していきます。

IT業界の商流と報酬の関係

IT業界の商流(※)と報酬の関係は、基本的には以下のように1次請け有利です。
※発注元から1次請け、1次請けから2次請け・・・といった仕事の依頼の流れ

1次請け>2次請け>3次請け・・・

おそらくご想像どおりですが、一般的に1次請けが高い報酬を得られる可能性が高く、2次請け以降はどんどん下がっていきます。

個人で見れば、1次請けの新人よりも3次請けのベテラン管理職の方が報酬は高くなるでしょうが、同年代の同ランクの社員の給与を比較するとこの傾向は根強いと思います。

1次請け以外はブラック企業?

「1次請け以外のIT = ブラック」

こんなイメージを持っている人も多いようですが、そうとも言い切れません。
リスクは高まる傾向はありそうですが、会社によっては2次請けでもしっかりした企業があります。
1次請けの経験よりも2次請け以降の経験の方が後々役に立つこともあります。

1次請けと2次請けでは一般的に仕事の内容が変わってくるので、その内容を僕の経験を交えてお話します。

1次請け企業の仕事

一次請けのIT企業を「プライムベンダー」と表現することもあります。
1次請け企業の仕事は、発注元企業の要求を受け、要件定義を行い、構築するシステムの全体像を組み立てて必要なシステム構成を具体化していくことなどです。

就職、転職を考えている人向けに1次請け企業で求められるスキルや、良いところ、悪いところをあげていきます

1次請け企業に求められる経験/スキル

  • コミュニケーション力(お客さんや関係者との折衝)
  • ベンダコントロール経験(2次請けとの折衝)
  • プロジェクトマネジメント経験
  • IT業界のトレンド・新サービスの知識

前項でもお話したとおり、発注元のお客さまとのコミュニケーションは必須です。
また、実際の開発などは2次請けに依頼することが多いため2次請け企業とのコミュニケーションやマネジメントが求められます。

1次請け企業のメリット

  • 給与水準が高い
  • 様々なコミュニケーション力が身につく
  • ビジネス感覚が身に付きやすい
  • 仕事の型やフレームワークが充実している
  • ビジネス感覚が身に付きやすい

1次請け企業の良いところは、まず給与水準が高めなところです。
次に、2次請けと比べると他社の管理職層と会話する機会が多くなると思います。

比較的若いころから、関係各社の管理職層の方々とそのシステムを使いどのようにビジネスを盛り上げていくかを協議します。

「システム構築」自体が目的となる場合が多く

1次請け企業のデメリット

  • プログラミング等の技術が身につかない
  • 発注元と2次請け企業の間に挟まれるプレッシャーがある

自身でプログラミングや細かい設計をする機会がほぼ無いため、仕事の中だけではIT技術は身に付きにくいです。
技術面まで担当している会社もありますが、多くの場合は製造工程などは他社に発注されています。

1次請け企業は、発注元からのプレッシャーと、2次請けからのプレッシャーがかかる立ち位置です。
発注元と2次請け、両社の管理職層の間に挟まれながら落としどころを探していくというプロセスは人によっては大きなストレスになります。
僕もかなり疲弊した記憶があります・・・

2次請け企業の仕事

1次請けのIT企業から、システム開発の一部や作業の一部を引き受けます。
実際に自分で作業してシステム開発を行います。
(大きな案件の場合など、2次請けでも振り分けと作業管理のみで実作業は他社に依頼するケースもあります)

2次請け同様、2次請け企業についても求められる経験や良い点、悪い点をあげてみます。

2次請け企業に求められる経験/スキル

  • システムの基本設計、詳細設計
  • 開発経験(プログラミング)
  • プロジェクトマネジメント経験
  • コミュニケーション力(お客さまとの折衝)

前項でもお話したとおり、発注元のお客さまとのコミュニケーションは必須です。
また、実際の開発などは2次請けに依頼することが多いため2次請け企業とのコミュニケーションやマネジメントが求められます。

2次請け企業のメリット

  • プログラミング等の技術が身に付きやすい
  • 独立しても仕事がしやすい
  • 自分の裁量で作業時間をコントロールしやすい

まずは、自身でシステム構築ができるスキルが身に付きやすいです。
趣味や副業でWEBサービスを開発している知り合いもいます。

上記のような仕事ができるので比較的独立もしやすくなります。

作業も大枠が決まった状態で製造の依頼がくるケースなどが多いので、設計書作成やプログラミングなどの自分の作業に没頭することができます。
3日間で自分の担当分を作成するなど、納期を守れればそれまでの時間配分はある程度融通が利きます。
僕の経験では、丸一日だれとも話もせず作業に没頭していたこともありました。

2次請け企業のデメリット

  • 1次請けにくらべ給与水準が低くなる
  • ビジネス感覚は身に付きにくい
  • 設計書作成や製造、テストなどの作業量が多い
  • システム構築方針に自由が利かない

前述したとおり、一般的に給与水準は下がります。
「システム構築」自体が目的となる場合が多く、意識しなければビジネス観点の会話ができる機会は少なくなります。

基本的に作業量は多く、対人コミュニケーションの問題もありますが、急な仕様変更などに対応するための自身の立ち位置でコントロールしにくい突発作業の発生などが多く、身体的にも辛い場面が発生しやすい立ち位置だと思います。

システムの大枠は1次請けが固めてきますので、構築方針などの制約がかかります。
たとえば2パターンの実現方法があり、自分はAパターンの方が良いと思っていたとしても、1次請けがBパターンで発注元と仕様を握ってくればBパターンに決まってしまいます。

客先常駐の作業

IT業界では、お客さま先(大元の発注者や1次請け、2次請け企業)に常駐して作業を行う形態があります。
3次請け、4時請けの企業の仕事はこ常駐型の勤務が多くなってきます。

客先常駐は、お客さまの会社に席を用意していただき、そこに勤務することになります。
お客さまと同じ拠点で、お客さまの環境を借りて設計・開発作業などを行う勤務形態になります。
お客さまのプロジェクトチームの一員として社員さんや他社の常駐メンバーと共に作業を進める形です。

この「客先常駐」についてはネガティブなイメージが多いと思いますが、個人的には悪いことばかりではないと思っています。
いくつか客先常駐のメリットをあげてみます。

客先常駐のメリット

  • いろいろな会社の内情を知れる
  • 人脈が広がる
  • 新鮮な気持ちで仕事ができる

まず、いろいろな会社の内側に入れるので、会社によって違う文化に触れることができます。
職場を点々とすることになるので、人脈が広がるチャンスが増えます。
環境が変わるたびに新鮮な気持ちで仕事をすることができます。
僕も客先常駐を経験し、視野を広げるきっかけになりました。

こういったことに、メリットを感じない人にとっては少々過ごしにくい環境になるかもしれません。

まとめ

IT業界の構造について、まとめていきます。

  • IT業界の構造は1次請け2次請け...というピラミッド構造
  • 商流が上のほうが給与水準は高い
  • 2次請け以降の方が技術が身に付きやすい
  • 客先常駐にもメリットがある

「IT業界にいくなら1次請けしかない」
と言い切っている人もいましたが、僕の個人的な意見は、自分の特性ややりたいことを考えたうえで、マッチすると思える立ち位置が良いと思います。
これからの時代、ますます技術を身に着けることは協力な武器になると考えています。

2次請けのSEから1次請けの企業に転職した人もいれば、ITの技術的な領域に興味をもち、一次請けから2次請けの企業に転職した知人もいます。
また、ここでは「発注元」と表現したビジネスオーナー企業のシステム部門なども視野にいれることができると思います。

あなたのキャリアを考えるうえで、参考になる情報があれば幸いです。

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